「キャンプや車中泊」「災害による停電への備え」「高騰する電気代対策」…
用途ごとにおすすめのポータブル電源は異なる。
決して安いとはいえない買い物なので、誰しもがピッタリなモデルを手に入れたいところだろう。
当記事でおすすめするポータブル電源はリン酸鉄リチウムバッテリー内蔵モデルに限定。その上で「容量別おすすめランキング」をメインに、「各ブランドの特徴やサポート品質の比較」「用途に合わせた容量・付属機能の選び方」などを解説している。
実際に10数年間あらゆるポータブル電源の購入と返品を繰り返した筆者の経験を基に、コスパ最強のポタ電を紹介しています
コチラの記事では、ポータブル電源に内蔵されている「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」そのものの安全性や従来の三元系バッテリーとの違いについて詳しく解説している
【容量別コスパ最強】おすすめポータブル電源(リン酸鉄リチウムバッテリー)ランキング
数あるリン酸鉄リチウムイオン内臓のポータブル電源製品の中でも、容量毎のおすすめをランキング形式でまとめている。
表中各モデルの[詳細]をタップすると、詳しく解説している章にジャンプすることができるので、是非ポータブル電源選びに役立ててほしい。
順位 | 超大容量 (2000~3000Wh程度) | 大容量 (1000~1500Wh程度) | 中小容量 (200~1000Wh程度) |
---|---|---|---|
1位 | DELTA Pro [詳細] | DELTA2 [詳細] | EB70S [詳細] |
2位 | AC200MAX [詳細] | 757 Portable Power Station [詳細] | RIVER2 Max [詳細] |
3位 | 767 Portable Power Station [詳細] | JUMP 1000 [詳細] | PowerArQ S7 [詳細] |
なお、ポータブル電源のおすすめランキングは、リン酸鉄リチウムイオン電池内蔵モデルであることを前提とし、次のような要因で比較し順位付けしている。
- 価格に対しての電気容量
- 容量に対してのサイズ・重量
- 実用的な付属機能・拡張性
- 実際の使用感・口コミ
それでは、ピックアップしたおすすめのポータブル電源それぞれのスペックを解説していく。
【超大容量2000~3000Wh】リン酸鉄リチウムバッテリーポータブル電源
1位:EcoFlow DELTA Pro(3600Wh)/詳細と口コミの評判
超大容量のリン酸鉄リチウムイオン内蔵ポータブル電源を求めるとなると、必然的に最有力候補として挙がるのが、EcoFlow製「DELTA Pro」だ。
EcoFlowの最高傑作といわれるDELTA Proの容量は3600Wh。リン酸鉄リチウムイオンバッテリー内蔵のポータブル電源を発売しているメーカーの中でも群を抜いた容量を誇る。
実際に利用してみて分かるメリットは、AC充電で3600Whもの大容量を約3時間程でフル充電できる点だ。据置きの非常用電源としては頼もしいモデルといえるだろう。
また、着目すべき点はDELTAシリーズ特有の「X-Stream」、そしてスマホアプリ遠隔操作、エクストラバッテリーによる増設など、EcoFlowの最新技術が惜しみなく搭載されている点だ。
DELTA Proの欠点をしいて挙げるならば、その重量から用途が限られる点である。移動用キャスターが付いているものの、アウトドア用の電源などは持ち上げる場面が多いので苦労するだろう。
しかし、DELTA Proのようにリン酸鉄リチウムイオン電池内蔵で大容量、かつ高機能なポータブル電源は他メーカーに存在しない。価格面を踏まえてもコスパ最強のモデルだ。
EcoFlowの独自機能の概要やカスタマーサポートなど、ブランドの特徴についてはコチラの章で詳しく解説している
DELTA Pro | |
---|---|
メーカー | EcoFlow |
内蔵バッテリー | リン酸鉄リチウムイオン |
容量 | 3600Wh |
出力 | 3000W(サージ6000W) |
寿命 | 3500+サイクル(約9.5年) |
サイズ | L635×W285×H416mm |
重量 | 45kg |
保証期間 | 5年 |
定価 | 440,000円 |
2位:BLUETTI AC200MAX(2048Wh)/詳細と口コミの評判
BLUETTIから発売されている、リン酸鉄リチウムイオン電池内蔵のポータブル電源「AC200MAX」は拡張性に優れた大容量モデルだ。
AC200MAXは本体だけで2048Whもの大容量を誇るため、エアコンや冷蔵庫などの家庭用家電でも長時間の稼働に強い。
車載用の小型家電であれば1~2日は快適な生活ができ、キャンプでも電気毛布はもちろん、ドライヤーや電子レンジも気兼ねなく利用できるポータブル電源だ。
普段使いでは十分な容量だが、AC200MAX専用の別売の拡張バッテリー「B230(2048Wh)」「B300(3072Wh)」「B300S(3072Wh)」を使えば8192Whまで増量できる。
さらに、拡張バッテリー自体にも出力ポートが付いている。そのため、容量だけでなくポート数の拡張もできたり、単体でもポータブル電源として機能したりするメリットは非常に強力だ。
最近では機能性の高いポータブル電源は多く、多少の付属機能では目新しさは感じづらい。しかし拡張バッテリーの優秀さにこそBLUETTIの企業努力が伺えるだろう。
唯一の欠点を挙げるのなら、AC200MAX本体にはLED照明機能が搭載されていないことだ。当然、操作パネルはLED付きなので操作に困ることはないが、夜間用や防災目的としての照明は別の機器で補う必要がある。
とはいえ、容量・拡張性問わず申し分ないAC200MAXは用途問わず活躍してくれる。まさにオールインワンのポータブル電源としておすすめだ。
BLUETTIの独自機能の概要やカスタマーサポートなど、ブランドの特徴についてはコチラの章で詳しく解説している
AC200MAX | |
---|---|
メーカー | BLUETTI |
内蔵バッテリー | リン酸鉄リチウムイオン |
容量 | 2048Wh |
出力 | 2200W(サージ4800W) |
寿命 | 3500+サイクル(約9.5年) |
サイズ | L440×W296×H387.5mm |
重量 | 28.1kg |
保証期間 | 2年 |
定価 | 249,980円 |
3位:Anker 767 Portable Power Station(2048Wh)/詳細と口コミの評判
Anker社から発売されているリン酸鉄リチウムイオン電池内蔵の大容量ポータブル電源「767 Portable Power Station」。
同容量のBLUETTI社製「AC200MAX」が比較対象として挙がるが、サイズと重量、そして価格の面では767 Portable Power Stationがやや劣る。
とはいえ、Ankerは5社のなかでも高いブランド性を誇る。安全性が重要視されているポータブル電源では、メーカーの信頼性で選ぶことも大切だろう。
また、他社ポータブル電源メーカーにないAnkerの大きなメリットとして、パススルーによるバッテリーの劣化がないことが挙げられる。
詳細はコチラの章で解説
767には30kg程度の重量があるが、収納可能な取っ手とキャスターのおかげで移動時のストレスは少ない。また、各ポートがポータブル電源の正面に集中しているのが使い勝手が良いと評判だ。
他にも、LED照明機能やGaN(窒化ガリウム)搭載など、スペック面を踏まえてもAC200MAXと差別化できる特徴は多いため、十分におすすめできる大容量ポータブル電源だ。
Ankerの独自機能の概要やカスタマーサポートなど、ブランドの特徴についてはコチラの章で詳しく解説している
767 Portable Power Station | |
---|---|
メーカー | Anker |
内蔵バッテリー | リン酸鉄リチウムイオン |
容量 | 2048Wh |
出力 | 2000W |
寿命 | 3000+サイクル(約8.2年) |
サイズ | L525×W395×H250mm |
重量 | 30.5kg |
保証期間 | 5年 |
定価 | 299,900円 |
【大容量1000Wh~1500Wh程度】リン酸鉄リチウムバッテリーポータブル電源
1位:EcoFlow DELTA2(1024Wh)/詳細と口コミの評判
EcoFLow社製「DELTA2」は、容量1000Wh超のモデルを求める人に非常におすすめできるハイスペックなリン酸鉄リチウムイオン内蔵ポータブル電源だ。
流石のEcoFLow製品なだけあって付属機能は申し分ない。急速充電機能の「X-Stream」や電力ブースト機能の「X-Boost」、専用アプリなど実用的な機能が多く搭載されている。
詳細はコチラの章で解説
また、DELTA2は1000Wh超の容量や機能性の高さに対し、本体の重量がわずか12kgと軽いのが大きなメリットとなる。持ち運びやすさは、キャンプなど多くの移動が見込まれる場面にこそ真価を発揮するだろう。
キャンプや車中泊で家電を長期稼働させたい人にとって、1024Whの容量は少々心もとないと感じる人もいるかもしれないが、DELTA2には専用エクストラバッテリーが存在し、必要に応じて3,040Whまで増設できる。
DELTA2は機能性・拡張性・重量において非の打ち所がないように思えるが、急速充電時に鳴る大きな音が気になるという人は多い。
しかし、DELTA2はそんなデメリットを踏まえても、容量1000Wh超のポータブル電源の中では最もコスパが高くおすすめできる。
EcoFlowの独自機能の概要やカスタマーサポートなど、ブランドの特徴についてはコチラの章で詳しく解説している
DELTA2 | |
---|---|
メーカー | EcoFlow |
内蔵バッテリー | リン酸鉄リチウムイオン |
容量 | 1024Wh |
出力 | 1500W(サージ2250W) |
寿命 | 3000+サイクル(約8.2年) |
サイズ | L400×W211×H281mm |
重量 | 12kg |
保証期間 | 5年 |
定価 | 143,000円 |
2位:Anker 757 Portable Power Station(1229Wh)/詳細と口コミの評判
Anker社から発売されている1229Whのリン酸鉄リチウムイオン内蔵ポータブル電源「757 Portable Power Station」は、ブランドの信頼性はもちろん、アルミニウムの堅牢なフレーム構造からユーザー人気が非常に高いモデルだ。
高い耐久性を誇る本体のデザインだけでなく、1229Whもの容量を約1.5時間程度でフル充電でき、さらに静音設計なのも嬉しい点である。
なんといっても、Anker社特有のパススルー機能は大きなメリットだ。
劣化を気にせず充電をしつつ家電に給電をしておくことができ、停電時には20ミリ秒程度でバッテリーからの給電に切り替わる「無停電電源装置 (UPS) 機能」は、非常用電源として頼もしい。
一つ残念な点は拡張性だ。同社から専用の拡張バッテリーなるものは発売されておらず、必要に応じて容量を増設することができないのは他社と比べてマイナスポイントだろう。
とはいえ単体でも優秀なのがAnker社製品。防災グッズとして非常用電源を求めるのなら、757 Portable Power Stationはおすすめできるポータブル電源といえるだろう。
Ankerの独自機能の概要やカスタマーサポートなど、ブランドの特徴についてはコチラの章で詳しく解説している
757 Portable Power Station | |
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メーカー | Anker |
内蔵バッテリー | リン酸鉄リチウムイオン |
容量 | 1229Wh |
出力 | 1500W |
寿命 | 3000+サイクル(約8.2年) |
サイズ | L463×W288×H237mm |
重量 | 19.9kg |
保証期間 | 5年 |
定価 | 169,900円 |
3位:VTOMAN JUMP 1000(1408Wh)/詳細と口コミの評判
VTOMANから発売されているリン酸鉄リチウムイオン内蔵のポータブル電源「JUMP 1000」は、非常に個性的ながら優秀なモデルだ。
JUMP 1000はそこそこの重量だが、サイズそのものはコンパクトな設計。その小さな体には実用的な機能が備わっている。
例えば、EcoFlow社の電力ブースト技術である「X-Boost」と似た「定電力機能」だ。最大1600Wまでの電力供給が可能で、対応家電の幅を大きく広げてくれる。
他にもポータブル電源の付属機能としては珍しい「ジャンプスターター機能」が搭載されており、JUMP 1000だとスタートピーク電流は3000Aとなる。
冬のキャンプや車中泊の敵である、メインバッテリー上がりの対策グッズとしても活躍してくれるだろう。
また、VTOMANでは他社のように2000Wh超の大容量モデルは提供されていないが、最大2956Whまで増設できる拡張バッテリーが発売されている。
しかし、入力に難ありで急速充電には対応していない。急速充電機能が当たり前になりつつある昨今のポータブル電源と比較すると物足りなさを感じてしまうのが惜しい点だ。
JUMP 1000 | |
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メーカー | VTOMAN |
内蔵バッテリー | リン酸鉄リチウムイオン |
容量 | 1408Wh |
出力 | 1000W(サージ2000W) |
寿命 | 3100+サイクル |
サイズ | L360×W270×H280mm |
重量 | 16.8kg |
保証期間 | 24ヶ月 |
定価 | 182,000円 |
【中小容量200Wh~1000Wh程度】リン酸鉄リチウムバッテリーポータブル電源
1位:BLUETTI EB70S(716Wh)/詳細と口コミの評判
BLUETTI社製のリン酸鉄リチウムイオン内蔵ポータブル電源である「EB70S」は、ミドルクラスの容量帯を求める人にダントツでおすすめの最強モデルだ。
本来、1000Whを下回る軽量小型なポタ電は出力不足が懸念点となる。定格出力は電気容量とは異なり、必要に応じて拡張することができないため、慎重に選ぶ必要があるのだ。
しかし、EB70Sの定格出力800Wは十分な数値。電子レンジを始めとするほとんどの家電を稼働させることができ、汎用性の観点で非常に優秀である。
このスペックでありながら重量は10kg以内に収まっており、上部のハンドルだけで片手で軽く持ち上がるのも評価できる点だ。
軽量小型、かつその安定した出力から家電の対応幅が広いため、移動の多いアウトドアでは活躍してくれるのはもちろん、サブのポータブル電源としても最適ではないだろうか。
EB70Sはまさに“丁度良い”という言葉がピッタリなモデルであり、500Wh未満の容量を求める場合でも少々予算を足して買っても良い程だ。それ位にはおすすめできるポータブル電源がEB70Sである。
BLUETTIの独自機能の概要やカスタマーサポートなど、ブランドの特徴についてはコチラの章で詳しく解説している
EB70S | |
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メーカー | BLUETTI |
内蔵バッテリー | リン酸鉄リチウムイオン |
容量 | 716Wh |
出力 | 800W(サージ1400W) |
寿命 | 2500+サイクル(約6.8年) |
サイズ | L320×W217×H222mm |
重量 | 9.7kg |
保証期間 | 2年 |
定価 | 79,800円 |
EcoFlow RIVER2 Max(512Wh)/詳細と口コミの評判
リン酸鉄リチウムイオン内蔵ポータブル電源のEcoFlow RIVERシリーズの最新作「RIVER2 Max」は、軽量小型でありながらDELTA同様、機能性に優れたモデルだ。
定格出力は500Wと心もとないが、EcoFlow社製の最新技術である電力ブースト「X-Boost」機能を使えば出力を750Wまで引き上げることができる。
X-Boostによって電子レンジやケトルなどといった家電もギリギリ使うことができる。出力750Wのポタ電がこの価格と考えればコスパはかなり高いといえるだろう。
もちろん「X-Stream」による急速充電にも対応しており、機能性だけでいえばBLUETTIの「EB70S」を上回る。
EB70SとRIVER2 Maxのコスパは拮抗するので迷うところだが、EcoFlowの急速充電技術を重視するのであればRIVER2 Maxを選ぶのがおすすめだ。
EcoFlowの独自機能の概要やカスタマーサポートなど、ブランドの特徴についてはコチラの章で詳しく解説している
RIVER2 Max | |
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メーカー | EcoFlow |
内蔵バッテリー | リン酸鉄リチウムイオン |
容量 | 512Wh |
出力 | 500W(サージ1000W) |
寿命 | 3000+サイクル(約8.2年) |
サイズ | L269×W259×H196mm |
重量 | 6.1kg |
保証期間 | 5年 |
定価 | 64,900円 |
PowerArQ S7(716Wh)/詳細と口コミの評判
加島商事株式会社のプライベートブランドSmartTap (スマートタップ)から発売されているリン酸鉄リチウムイオン内蔵ポータブル電源「PowerArQ S7」は、キャンプなどアウトドアに推奨されるモデルだ。
PowerArQ S7の人気の秘訣としては、やはり「コヨーテタン(ベージュ)」「オリーブドラブ(深緑)」といったアウトドア向けのカラーラインナップだろう。実際、二種類のカラーが展開されているポタ電は珍しい。
リン酸鉄リチウムイオン内蔵なので、バッテリーそのものの性能はお墨付き。最近のポータブル電源が機能過多気味に感じる人におすすめだ。
また、PowerArQ S7の機能性は他社と比べて著しく劣るわけでもない。スマホのワイヤレス充電に対応していたり、AC出力が5口あるなど他社と差別化できる点は多い。
S7は価格に対して容量・定格出力も悪くない。「見た目で選びたい」「機能は必要最低限で良い」という人にはおすすめできるポータブル電源だろう。
PowerArQ S7 | |
---|---|
メーカー | SmartTap |
内蔵バッテリー | リン酸鉄リチウムイオン |
容量 | 716Wh |
出力 | 700W (サージ1400W) |
寿命 | 3000+サイクル (約8.2年) |
サイズ | L314×W212×H230mm |
重量 | 9.5kg |
保証期間 | 24ヶ月 |
定価 | 79,200円 |
【メーカー比較】おすすめポータブル電源(リン酸鉄リチウムバッテリー)一覧
リン酸鉄リチウムイオン内蔵のポータブル電源を購入するときは、ブランドに注目して選ぶことをおすすめする。
バッテリー商品であるポータブル電源は安全性が求められる。そのため、販売元に高い信頼性や実績が大切なのはもちろんだが、他にも次のような理由がある。
- 搭載機能など各メーカーごとの特徴
- 製品専用のパーツ(拡張バッテリーやソーラーパネルなど)の有無
- 保証期間や返品・返金条件、カスタマーサポートの品質の差
上記を踏まえ、本章ではリン酸鉄リチウムイオン内蔵ポータブル電源を製造・発売している大手ブランドの特徴に注目し、それぞれ比較している。
また、ランキングでおすすめしたポータブル電源以外にも、各社のリン酸鉄リチウムイオン内蔵モデルをピックアップし、スペックを表にまとめているので、併せて参考にしてみてほしい。
EcoFlow(エコフロー)
「EcoFlow(エコフロー)」は、2017年に創業された中国のポータブル電源ブランドである。
比較的新しい企業ではあるが、独自の技術が高く評価されており、瞬く間に知名度を上げた。現在では拠点をサンフランシスコ、香港、日本にグローバル展開している大手ポータブル電源ブランドだ。
EcoFlow製品は、2022年1月発売の「DELTA Pro」より、順次リン酸鉄リチウムイオンバッテリーへの移行が行われてる。
EcoFlowのポータブル電源の特徴と強み
EcoFlowのポータブル電源の最大の特徴としては、やはり独自技術による機能性の高さが挙げられるだろう。
設立者が有名なドローン企業DJI元エンジニアということもあってか、EcoFlowのポータブル電源にも先進的なテクノロジーが惜しむことなく搭載されている。
EcoFlowのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーのポータブル電源に搭載された専用技術は次の通り。
- X-Stream
-
EcoFlow独自の急速充電機能で、1時間で80%の速度で充電することができる。AC電源からのケーブル充電でも変換のためのアダプターが付属せず、省スペースにもなる
- X-Boost
-
EcoFlow独自の電力ブースト機能。電化製品がポータブル電源の定格出力を上回る場合でも、電化製品の消費電力を下げることによって動作させることが可能になる
その他も「EPS機能」「アプリによる遠隔操作」などといった標準的な機能も搭載されており、別売の「エクストラバッテリー(拡張バッテリー)」で必要に応じて電気容量を増設することも可能だ。
EcoFlow製品のメリットとしては、多機能でありながらも実用的なものだけが搭載されている点ではないだろうか。
ポータブル電源に限った話ではないが、機能過多でコストだけかさみがちな製品は多い。そんな中、EcoFlowは普段使いでも汎用性の高い機能をピンポイントで実装している点は大きな評価点である。
EcoFlowのリン酸鉄リチウムイオン内蔵モデル一覧
EcoFlowから発売されているリン酸鉄リチウムイオンのラインナップは下記表の通り。
DELTA Pro | DELTA2 | RIVER2 Max | RIVER2 | |
---|---|---|---|---|
メーカー | EcoFlow | EcoFlow | EcoFlow | EcoFlow |
内蔵バッテリー | リン酸鉄リチウムイオン | リン酸鉄リチウムイオン | リン酸鉄リチウムイオン | リン酸鉄リチウムイオン |
容量 | 3600Wh | 1024Wh | 512Wh | 256Wh |
出力 | 3000W (サージ6000W) | 1500W (サージ2250W) | 500W (サージ1000W) | 300W (サージ600W) |
寿命 | 3500+サイクル (約9.5年) | 3000+サイクル (約8.2年) | 3000+サイクル (約8.2年) | 3000+サイクル (約8.2年) |
サイズ | L635×W285×H416mm | L400×W211×H281mm | L269×W259×H196mm | L245×W215×H145mm |
重量 | 45kg | 12kg | 6.1kg | 3.5kg |
保証期間 | 5年 | 5年 | 5年 | 5年 |
定価 | 440,000円 | 143,000円 | 64,900円 | 29,900円 |
EcoFlowの保証や返金・返品、カスタマーサポートの評判
EcoFlowの保証制度や返金・返品制度は次のようになっている。
- EcoFlow製ポータブル電源の品質保証期間
-
各製品2年(24ヶ月)を基準に、公式サイトの製品保証登録を行うことで3年(36ヶ月)無償延長を受けることができ、合計5年の保証期間となる
- EcoFlow製ポータブル電源の返金・返品制度
-
初期不良や欠品が認められる場合、商品到着日より30日以内にカスタマーサポート宛に連絡することで交換対応が受けられる
EcoFlowの日本カスタマーサポートだが、正直あまり良い評判を聞かないのが残念なところだ。
具体的にはEcoFlowの交換や返品対応が遅いことに不評の声を上げる人は多い。原因としては、爆増したユーザーにカスタマーサポート体制が追いついていないことが考えられる。
ただ、対応の遅れはあるものの、初期不良を始めとする不具合にはきちんと対応している点では安心しても良いだろう。
Anker(アンカー)
モバイルバッテリーのブランドとして名高い「Anker(アンカー)」は、2011年設立の中国の企業である。
Googleの元エンジニアの設立者を中心とし、ノートパソコンの交換用バッテリーからスマホ向けモバイルバッテリー開発まで、バッテリーメーカーとしての歴史は長く、信頼性でいえばダントツのブランドだ。
2016年6月「Anker PowerHouse」の発売をポータブル電源市場に参入、2022年4月にはリン酸鉄リチウムイオンバッテリーが内蔵された「757 Portable Power Station 」を開発している。
Ankerのポータブル電源の特徴と強み
Anker製ポータブル電源の最大の強みとしては、老舗バッテリーブランドとしての安心感だろう。
安全性が求められるバッテリー製品であるポータブル電源では、製造元の信頼性こそ重要な検討材料と考えるべきだ。
また、Ankerのポータブル電源製品には、機能性の面でもEcoFlowと違ったメリットがある。
特筆すべき特徴は、パススルーによるバッテリー劣化が起こらないことだ。
多くのブランドではバッテリー劣化の観点から推奨されない中、Anker製品では公式的に付属機能としている。
非常用電源などの用途でパススルーの利用が前提となる場合は、筆頭候補といえるだろう。
本製品は無停電電源装置 (UPS) 機能を搭載しています。家庭用コンセントから本製品を充電しながら、本製品から家電や機器へ給電 (パススルー充電) できます。停電時はわずか20ミリ秒 (※) でバッテリー給電に自動で切り替わるため、バックアップ電源としてご活用いただけます。
引用:Anker公式
他にも、「急速充電」「PowerIQ 3.0」「GaN (「767 Portable Power Station」のみ)」などといったテクノロジーも搭載されており、機能性は十分高いといえるだろう。
- PowerIQ 3.0
-
Anker独自の充電機能で、USB-C機器に対し最大100W出力で急速充電を行う。iPhoneであればわずか30分で最大50%まで充電可能
- GaN(窒化ガリウム)
-
ポータブル電源にGaNを搭載することで電力変換効率を約96%(従来は88~91%)まで高め、長時間の電力供給を行う。1サイクルの給電時間が増えるため、バッテリーの長寿命化にも繋がる
ただ、専用拡張バッテリーや専用アプリは、GaN同様に767 Portable Power Stationのみにしか用意されていない点には気を付けたい。
Ankerのリン酸鉄リチウムイオン内蔵モデル一覧
Ankerから発売されているリン酸鉄リチウムイオンのラインナップは下記表の通り。
767 Portable Power Station | 757 Portable Power Station | 555 Portable Power Station | |
---|---|---|---|
メーカー | Anker | Anker | Anker |
内蔵バッテリー | リン酸鉄リチウムイオン | リン酸鉄リチウムイオン | リン酸鉄リチウムイオン |
容量 | 2048Wh | 1229Wh | 1024Wh |
出力 | 2000W | 1500W | 1000W |
寿命 | 3000+サイクル (約8.2年) | 3000+サイクル (約8.2年) | 3000+サイクル (約8.2年) |
サイズ/重量 | L525×W395×H250mm | L463×W288×H237mm | L350×W295×H188mm |
重量 | 30.5kg | 19.9kg | 13.1kg |
保証期間 | 5年 | 5年 | 5年 |
定価 | 299,900円 | 169,900円 | 149,900円 |
Ankerの保証や返金・返品、カスタマーサポートの評判
Ankerの保証制度や返金・返品制度は次のようになっている。
- Anker製ポータブル電源の品質保証期間
-
各製品18ヵ月を基準に、公式サイトで会員登録を行うことで5年まで保証期間を延長できる
- Anker製ポータブル電源の返金・返品制度
-
初期不良や欠品が認められる場合、商品到着日より30日以内にカスタマーサポート宛に連絡することで返金対応が受けられる
また、顧客都合の理由(商品やサイズ間違い)の返金を申し出ても、送料さえ負担すれば対応して貰えるため、Ankerの保証制度は規約上でも融通が利く印象を受ける。
Ankerは創業から「製品品質と同等のサポート提供」をモットーにしており、カスタマーサポートにも注力している企業である。実際にAnkerユーザーからのサポート制度の評判は良好だ。
返品や交換にも迅速な対応されている。サポート品質の高さは流石大手ブランドといったところだろう。
BLUETTI(ブルーティ)
「BLUETTI(ブルーティ)」は中国の企業「パワーオークグループ」のポータブル電源ブランドだ。
2009年に設立されたパワーオークグループは、ポータブル電源と蓄電池開発において世界トップクラスのシェアを誇り、現在では研究開発スタッフが約100名、生産部門スタッフは約1000名と圧巻の企業規模である。
近年になってリン酸鉄リチウムイオンに移行するブランドが増える中、BLUETTIではリン酸鉄リチウムイオン電池内蔵のポータブル電源を一早く手掛けている、まさに先駆者ともいえる存在だ。
それもあってか、BLUETTIのリン酸鉄リチウムイオン内蔵モデルのラインナップは多い。リン酸鉄リチウムイオンバッテリー内蔵ポータブル電源にこだわるなら必見のブランドだろう。
BLUETTIのポータブル電源の特徴と強み
BLUETTIのポータブル電源には、EcoFlowやAnker程の大きな特徴がないように思える。
しかし、現行モデルは全体的に定格出力などの基本スペックが高いうえ、最近のモデルに至ってはEcoFlowにも劣らない機能を身に着けている。
- デュアル急速充電
-
BLUETTI独自の急速充電機能で、約2.5時間でフル充電できる。別売のACアダプターと付属のACアダプター2口を利用して同時にポータブル電源に充電する
- 電力リフト機能
-
BLUETTI独自の電力ブースト機能。電化製品がポータブル電源の定格出力を上回る場合でも、電化製品の消費電力を下げることによって動作させることが可能になる
専用アプリによる遠隔操作やワイヤレス充電機能も充実しており、「AC200MAX」「AC200P」は拡張バッテリーにも対応している。
その拡張バッテリーだが、電気容量に加えて出力ポートの増設もできる点は大きなメリットだ。例えば、BLUETTI最新の拡張バッテリー「B300S」の出力ポートは次の通り。
- USB-C×1口(100W)
- USB-A×1口(18W)
- DCカーアウトレット×1口(12V10A)
EcoFlowDELTAシリーズの「エクストラバッテリー」は急速充電に対応しており優秀な点が多い。対してBLUETTIの拡張バッテリーは出力ポートの面で対抗している。
BLUETTIのリン酸鉄リチウムイオン内蔵モデル一覧
AC200MAX | AC200P | EB70S | EB55 | EB3A | |
---|---|---|---|---|---|
メーカー | BLUETTI | BLUETTI | BLUETTI | BLUETTI | BLUETTI |
内蔵バッテリー | リン酸鉄リチウムイオン | リン酸鉄リチウムイオン | リン酸鉄リチウムイオン | リン酸鉄リチウムイオン | リン酸鉄リチウムイオン |
容量 | 2048Wh | 2000Wh | 716Wh | 537Wh | 268.8Wh |
出力 | 2200W (サージ4800W) | 2000W (サージ4800W) | 800W (サージ1400W) | 700W (サージ1400W) | 600W (サージ1200W) |
寿命 | 3500+サイクル (約9.5年) | 3500+サイクル (約9.5年) | 2500+サイクル (約6.8年) | 2500+サイクル (約6.8年) | 2500+サイクル (約6.8年) |
サイズ/重量 | L440×W296×H387.5mm | L420×W280×H386mm | L320×W217×H222mm | L278×W200×H198mm | L255×W180×H183mm |
重量 | 28.1kg | 27.5kg | 9.7kg | 7.5kg | 4.6kg |
保証期間 | 4年 | 4年 | 2年 | 2年 | 2年 |
定価 | 249,980円 | 219,980円 | 79,800円 | 59,980円 | 39,980円 |
BLUETTIの保証や返金・返品、カスタマーサポートの評判
BLUETTIの保証制度や返金・返品制度は次のようになっている。
- BLUETTI製ポータブル電源の品質保証期間
-
各製品2年を基準に、公式サイトの保証延長登録を行うことで2年の無償延長を受けることができ、合計4年の保証期間となる(延長は「AC200Max」「AC200P」のみ対象)
- BLUETTI製ポータブル電源の返金・返品制度
-
輸送などによる損傷は商品到着日より24時間以内、その他初期不良や欠品が認められる場合、48時間以内にカスタマーサポート宛に連絡することで交換対応が受けられる
最近のポータブル電源では5年の保証期間であることが普通である中、BLUETTI製品は「AC200Max」「AC200P」のみ4年で、他小型ポータブル電源は2年と短いのが気がかりだ。
保証制度もそうだが、BLUETTI JAPANのカスタマーサポートの評判も決して良いとはいえない。口コミをみてもサポートに不満を抱く人が多いことが分かる。
BLUETTIのポータブル電源製品自体は素晴らしいだけに、サポート制度がイマイチな点は残念でならない。
【比較ポイント】ポータブル電源(リン酸鉄リチウムバッテリー)おすすめの選び方
どのポータブル電源もそれ自体が優秀なリン酸鉄リチウムバッテリーを内蔵していながら、各モデル高い機能性を誇るため迷いがちだ。
本章では、リン酸鉄リチウムイオン電池であることを大前提とし、導入目的に併せたおすすめの機能や容量の観点でポータブル電源の選び方を解説している。
魅力的なポタ電が数多くある中「結局、どのポータブル電源を選んで良いか分かない」という人は参考にしてみてほしい。
用途別ポータブル電源の選び方
普段使い/ソーラーパネルでの太陽光充電がおすすめ
ポータブル電源といえば、非常用電源やキャンプなどで利用するイメージが強いが、日常的に使う人も多いはずだ。
電気代が高騰している近頃では、ポータブル電源を普段使いのために導入するメリットは大きいだろう。
日常使いでポータブル電源を取り入れるなら、室外に設置して太陽光充電できるソーラーパネルは必ずセットで導入したいところだ。
大がかりな作業もなく、晴れた日にベランダにパネルを立て掛けておくだけで良い。
太陽光充電は速度が遅い印象があるかもしれないが、BLUETIでは200W、EcoFlowからは400Wと高出力のソーラーパネルも続々と登場している。700Wh程度の電気容量なら5、6時間程度でフル充電できる(快晴時)。
例えば、リモートワークなどのシーンでスマホやノートPCへの充電、電気ケトルに給電するのなら電気容量は500Wh程度で十分。ただ、対応できる生活家電を増やす意味でも定格出力500~800Wは欲しいところだ。
非常用電源(防災・停電対策)/UPS機能が必須
災害や停電時の非常用電源としてポータブル電源を導入する場合は、UPS(無停電電源装置)機能に注目して選ぶようにしよう。
UPS機能搭載のポータブル電源は、継続的な電力供給が必要となる機器、例えばデスクトップPCや外付けハードディスク、サーバーやWiFiルーターなどのバックアップ電源として活躍してくれる。
平時ではこれらの機器にパススルーで給電し続ける必要があるが、パススルー利用によるバッテリー劣化が懸念点となる。
そのため、バックアップ電源の観点では、パススルーによる劣化がない、かつUPS機能を搭載したAnker社製ポータブル電源がおすすめとして挙がる。
パススルーについてはコチラの章で解説
また、復旧の目途が立たない停電時には大容量のポータブル電源があれば安心できる。2日の停電を見越して少なくとも1000Whは欲しいところだ。さらに非常灯として役立つLED照明機能も備えていれば言うことはないだろう。
キャンプ/使う電化製品から逆算し容量・定格出力を選ぶ
ポータブル電源をキャンプで利用する場合、利用する予定の電化製品に必要な容量・出力を計算し、ポータブル電源選びをするようにしよう。
キャンプでの利用で見込まれる各電化製品に必要な出力(W)と、見込まれる使用時間に対しての容量(Wh)の目安を表にまとめると次の通り。
アウトドア電化製品 | 消費電力の目安 | 必要容量の目安 |
---|---|---|
電気毛布 | 50~100W | 300~600Wh/6時間 |
アウトドア扇風機 | 50~70W | 50~70Wh/1時間 |
ホットプレート | 500~1500W | 500~1500Wh/1時間 |
ポータブル冷蔵庫 | 50~100W | 1200~2400Wh/24時間 |
電気ケトル | 800~1500W | 64~120Wh/5分 |
LEDランタン | 20~50W | 120~300Wh/6時間 |
スマホ充電 | 20~30W | 60~90Wh/3時間 |
キャンプは冬か夏かによって利用する電化製品が大きく異なる。使用する予定の家電から電力・容量を計算しておくなど、計画的に行わなくてはならない。
持ち込む電化製品の消費電力やキャンプの宿泊日数次第だが、一泊あたり容量700~1000Whあれば心強い。余裕をもって臨むなら1500Wh程度のポータブル電源を用意するか、ソーラーパネルも併せて用意しておくのがおすすめだ。
なお、電気ケトルやホットプレートは定格出力が足りず稼働させられない、ということはありがち。そういったリスクに備えて、電力ブースト機能付きのものや定格出力の高いモデルを選んでおくのが良いだろう。
車中泊(キャンピングカー)/長期間の旅は充電効率が要となる
ポータブル電源の容量は多いに越したことはないが、充電する機会が多い車中泊においては充電効率にこそ目を向けることで大幅にコストカットができる。
車内で快適に生活するためには、ポータブル電源の電池残量には常に気を配っておく必要がある。従って、ポータブル電源は1000Wh程度のそこそこの容量のもの、かつ充電性能が高いモデルがおすすめとして挙がる。
つまり車中泊の最有力候補は、業界最大の充電効率を誇るEcoFlow製のポータブル電源だ。
車中泊の場合、ポータブル電源をシガーソケットに繋いでの走行充電やソーラーパネルなどで充電することになるだろう。
また、メインとなるAC充電では、途中途中でEVステーションを経由しなくてはならず、長期間の車中泊はとにかく充電する機会が多い。
大容量のポータブル電源を買って自宅でフル充電してから出発するよりも、そこそこの容量のポータブル電源を選んで効率良く充電しつつ旅をする方が断然お得ということになる。
ポータブル電源の出力波形(正弦波・純正弦波)で選ぶ
ポータブル電源を選ぶうえで、「出力波形」の確認は必ず行っておきたい。
出力波形には大きく分けて「正弦波」と「矩形波」の二つがある。また、矩形波を正弦波に近づけた「修正正弦波」という波形も存在する。
結論からいえば、正弦波(純正弦波)のポータブル電源を選んでおけば間違いない。
一般的なコンセントからの出力は、交流正弦波や純正弦波と呼ばれる出力波形である。家庭用電源で使用される電化製品のほとんどは、正弦波の電気で使用することを前提に設計されている。
そのため、用途を選ばず利用できるポータブル電源は正弦波のもの、ということになる。
しかし、低価格帯のポータブル電源は、正弦波ではなく矩形波を出力するインバーターを搭載しているものも存在する。正弦波で設計されている電気機器と矩形波のポータブル電源に接続すると、故障や劣化など不具合のリスクが高まる。
ポータブル電源の安全性(PSEマーク)で選ぶ
バッテリー製品であるポータブル電源の安全性は、「PSEマーク」の取得の有無で確認することができる。
最近では「電気用品の範囲等の解釈について」の一部改正により、ポータブルリチウムイオン蓄電池製品が電気用品安全法の規制対象に含まれた。それにより2019年2月1日からは、PSEマーク表示のない製品の輸入・販売が規制されている。
しかし、ポータブル電源に関しては現在でも電気用品安全法の規制対象外であり、PSEマークを取得していない製品も多く出回っている。
Q.4 交流100Vも出力できる、いわゆるポータブル電源の扱いは?
A.4 蓄電池の出力は原理上直流に限られており、交流が出力できるポータブル電源は蓄電池に該当しないため、モバイルバッテリーとして扱わず、非対象。
引用:電気用品安全法/経済産業省
届出の必要のないポータブル電源製品だが、わざわざメーカーがPSEマークを取得しているかどうかは、製品の安全性はもちろん、各ブランドの信頼性を確認する意味でも必ず行っておきたい。
ポータブル電源の寿命(サイクル数)で選ぶ
ポータブル電源の価格は高く、明確な寿命が存在する。なるべくなら寿命が長いものを選んでおきたいところだ。
寿命を迎えたポータブル電源はバッテリー性能が低下し、100%と表示されていても実際の電池残量は80%、50%…と少なくなっていき、徐々に使えなくなってしまう。
ポータブル電源における寿命は、多くの場合サイクル数で表記されている。100%の放電で1サイクルとされ、純粋にサイクル数が多いければ高寿命とされる。
従って、ポータブル電源はサイクル回数の表記が同じでも容量が多いモデルほど寿命は長い。
また、内蔵されたバッテリー素材によっても寿命は異なる。例えば「Jackery(ジャクリ)」などが発売している従来の三元系リチウムイオン電池の寿命は500サイクル程。
対してリン酸鉄リチウムイオンバッテリー内蔵のポータブル電源の寿命は長く、3000~3500サイクルを誇り、約10年は使い続けることができる。
リン酸鉄リチウムイオン内蔵モデルの中からさらに寿命の長さにこだわる場合、容量が大きいモデルや、「GaN搭載」「パススルー機能付き」などのポータブル電源を選ぶことをおすすめする。
パススルーを前提としたポータブル電源の選び方
停電に備える場合など、パススルー前提でポータブル電源を使いたい人は多いはずだ。
結論からいえば、どのポータブル電源でもパススルー充電は行えるものの、バッテリー劣化の観点からほとんどのメーカーが推奨していない。
そんな中、Ankerのみが公式でパススルー充電を付属機能としていることが分かる。
- EcoFlow製品のパススルー
-
パススルー使用によって消耗が大きくなる場合がございますので、頻繁にパススルー使用をしないようにお願いいたします。
引用:EcoFlow公式 - BLUETTI製品のパススルー
-
できます。 ただし、バッテリーのサイクル寿命をよりよく保護するために、バッテリーの充電と放電を同時に行うことはお勧めしません。
引用:BLUETTI公式 - Anker製品のパススルー
-
本製品を充電しながら、別の接続機器へも同時に充電をする「パススルー充電」に対応。本製品はパススルー充電時にバッテリーを介さず直接家電製品に電力を供給することで、リチウムイオンバッテリーの劣化を抑える仕組みを採用しています (バッテリー残量94%以下の場合) 。
引用:Anker公式
実際、UPS機能抜きにしてもパススルー充電は使う機会は多い。パススルー充電の頻繁な利用が見込まれる場合は、Anker製ポータブル電源がおすすめだ。
日本製のポータブル電源(リン酸鉄リチウムイオン)を選ぶべきか
ポータブル電源の大手ブランドの本社は、中国にあることがほとんどである。大手通販サイトなどでは粗悪な中華製品も出回っていることもあり、中国製であることに不安を抱いてしまうものだ。
バッテリー製品は安全性が問われる。ポータブル電源の購入を検討している人の中には、日本製にこだわる人も多いはずだ。
日本製のポータブル電源ブランドには、加島商事株式会社の「Smart Tap (スマートタップ)」が挙げられる。
Smart Tapのリン酸鉄リチウムイオン内蔵のポータブル電源製品は「PowerArQ S7」のみである。
PowerArQ S7の詳細
ただ結論、リン酸鉄リチウムイオン内蔵のポータブル電源が海外製品だからといって敬遠する必要はない。
リン酸鉄リチウムイオン電池に限らず、蓄電池市場は中国が世界的トップシェアを誇る。また、各大手ブランドは日本支社を構えており日本人カスタマーへのサポート体制も徹底している。
重要なのは製造国ではなく販売元だ。中国製というだけで「歴史ある世界的な大手ブランドが販売する製品」と「どこの誰かも知らないバイヤーが販売する粗悪品」を混同してはいけない。
ポータブル電源(リン酸鉄リチウムイオン)は自作できるがデメリットも
「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー本体」と「インバーター」さえ購入すれば、ポータブル電源は自作することができる。
もちろん、自作すれば既製品を購入するよりずっと安くポータブル電源が手に入るため、コスト面には大きなメリットがあるといえるだろう。
逆に、実際にバッテリー本体にインバーターを取り付けることで、ひどく不格好な形になってしまい、とても持ち運びやすいとはいえなくなるのがデメリットだ。
また、非常時には必須となる電池残量パネルやLED非常灯など、非常用機能が欲しい場合は別途パーツを買って取り付ける必要が出てくるが、パーツ取り付ければ取り付けるほどゴテゴテになってしまう。
一方、既製品ポータブル電源は、急速充電や電力ブーストを始めとした機能自体にこそメリットがあるのはもちろん、これらあらゆる機能がコンパクトに内蔵されていることだろう。
さらに決め手は保証の問題である。自作したポータブル電源は、当然ながら製品保証は受けられない。
自作したポータブル電源は、安く済むというだけでそれ以上のメリットがないのが事実だ。
バッテリーの用途が車載用のサブバッテリーやボートのエレキなどでなければ、既製品のポータブル電源を購入することをおすすめする。
そもそもポータブル電源は買うべきか
ポータブル電源は買うべきか?本当に必要か?と思う人もいるかもしれない。
結論、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーのポータブル電源なら買うべきである。
日本は災害大国ともいわれ、地震や台風、豪雨やそれに伴う土砂災害などなど…とにかく自然災害が多い。そして災害時には当然、停電は付き物だ。
一時停電などで家の電力が遮断されたときの無力感を思い出してみてほしい。それが災害時だと、復旧まで何日続くか分からない停電に見舞われるだろう。
その時になって初めて分かるが、大容量の電力を供給してくれるポータブル電源は非常に頼もしい存在になる。
ただ、かつての「三元系リチウムイオン電池」が使われているポータブル電源は、発火や火災の危険性が大きな問題点だった。エネルギー効率の悪さや寿命の短さも無視できないデメリットだろう。
しかし、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、発火リスクは極めて低く、高いエネルギー効率を誇るため長寿命。従来のポータブル電源にあった全ての弱点を全て克服している。
キャンプや車中泊はともかく、非常用電源は全ての人に必要なはずだ。リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを内蔵したポータブル電源は、誰しも1台は買っておくべきだろう。
コチラの記事では、ポータブル電源を買うべき理由と逆に買ってはいけない蓄電池について解説している。
【よくある質問】おすすめのポータブル電源(リン酸鉄リチウムイオンバッテリー)FAQ
リン酸鉄リチウムイオン内蔵のポータブル電源を選ぶうえで、よくある質問をFAQ形式でまとめている。
- リン酸鉄リチウムイオン内蔵のポータブル電源のおすすめの選び方は?
-
ポータブル電源(リン酸鉄リチウムイオン)の選び方としては、まず使用するシーンに合わせて必要な「容量(Wh)」で絞り込むことがポイントです。
次に、ポータブル電源の「定格出力(W)」に注目します。定格出力が電化製品の消費電力を上回る必要があるからです。
また、急速充電やパススルー充電、アプリ遠隔操作など、各ポータブル電源の「付属機能」を比較し、予算と相談しつつ検討しましょう。
他にも、ポータブル電源をブランドで選ぶことも重要です。保証内容やカスタマーサポートの評判は各メーカー異なるため、信頼性の高いブランドを選ぶことをおすすめします。
- ポータブル電源に使われる「リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)」とは?
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「リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)」とは、ポータブル電源から電化製品に給電するために内蔵されているバッテリーの素材です。
これまでのポータブル電源には「三元系リチウムイオン電池」が使われていました。三元系リチウムイオンは、低コストで高い出力が見込めるものの、発火による危険性がデメリットとされていました。
一方で、リン酸鉄リチウムイオン電池には発火リスクがなく安全です。加えて、三元系に比べて約6倍のバッテリー寿命を誇ります。
大手ポータブル電源メーカーも、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを続々と新製品に取り入れており、現在では主流のバッテリー素材といえるでしょう。
- リン酸鉄リチウムイオン内蔵のポータブル電源にデメリットはありますか?
-
はい。
リン酸鉄リチウムイオン内蔵のポータブル電源のデメリットは、価格が高いことです。
とはいえ、バッテリーそのものの品質や寿命、高い安全性を踏まえると、大きなパフォーマンスが期待できます。
また、従来のポータブル電源と比較して約6倍の寿命を誇るため、長期的に利用することを考えればコストの面でも優れています。
つまり、リン酸鉄リチウムイオン内蔵のポータブル電源は、デメリット以上にメリットが大きいです。
そのため、新しくポータブル電源を購入するのなら、リン酸鉄リチウムイオン内蔵モデルを選ぶことをおすすめします。
- リン酸鉄リチウムイオン内蔵のポータブル電源は自作した方が良いですか?
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リン酸鉄リチウムイオンバッテリー本体を購入し、インバーターを取り付けることでポータブル電源として機能します。
ポータブル電源を自作すれば既製品を購入するよりも安価に入手できます。しかし、持ち運びづらさや製品保証の観点からおすすめしません。
対して、既製品のポータブル電源は、実用的な付属機能がコンパクトに搭載されていることにメリットがあります。
また、メーカーのサポートや数年の製品保証が受けられることを踏まえても、特別な理由がない限り既製品のリン酸鉄リチウムイオン内蔵のポータブル電源を購入することをおすすめします。
- 日本製のリン酸鉄リチウムイオン内蔵のポータブル電源はありますか?
-
はい。
一部ですが、日本製のリン酸鉄リチウムイオン内蔵のポータブル電源製品は存在します。ただ、日本製にこだわる必要はありません。
中国産の製品には悪いイメージがあるかもしれませんが、Ankerなど大手ブランドの多くは日本支社を構えており、日本人カスタマーへのサポートを徹底しています。
まとめ:おすすめのポータブル電源(リン酸鉄リチウムバッテリー)
- ポータブル電源(リン酸鉄リチウムイオン)のおすすめは、機能性に優れる「EcoFLow」製品
- ポータブル電源(リン酸鉄リチウムイオン)を選ぶ際は、必要な容量を基準に考える
- ポータブル電源(リン酸鉄リチウムイオン)の付属機能は、用途に併せたものを選ぶ
- ポータブル電源(リン酸鉄リチウムイオン)はブランドによって、サポート制度の品質や評判が異なる
ポータブル電源の価格は決して安いとはいえないため、利用目的にもっとも適したモデルを選ぶ必要がある。
ただ、リン酸鉄リチウムイオンを内蔵したポータブル電源は、バッテリー自体が優秀なため、どのモデルを購入するべきか迷ってしまいがちだ。
ポータブル電源の選び方としては、用途に合わせた「電気容量」を基本とし、「定格出力」「機能性」が比較基準となるだろう。
また、各ブランドによって、返品・返金保証やカスタマーサポートの品質も異なる。
そのため、ポータブル電源の万が一の初期不良や不具合といったリスクに備える意味でも、信頼性のあるブランドの製品を購入したいところだ。